※ヒゴスミレ ※シオン
『シーボルト旧蔵 日本植物図譜展』
大場秀章 監修/東京大学総合資料館
江戸の末、写真技術がまだ日本に伝わる前に長崎出島に派遣されていたフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトは滞在中に数人の日本人絵師に日本の植物の絵を描かせました。彼が帰国後にまとめることになる「フロラ・ヤポニカ(日本植物誌)」の原画です。
ヨーロッパスタイルであるようで、日本画的な手法による植物画の数々は圧倒的な繊細な美しさで私たちを魅了します。
中でもヨーロッパ美術と日本の伝統芸術の物微点を有機的に統合したとされる川原慶賀の絵や色彩がみずみずしく細部の描写がすばらしい清水東谷等の絵は圧倒される美しさです。
※白い花 田中一村
※奄美の社(1)田中一村
『NHK日曜美術時間「黒潮の画譜」 田中一村作品集』
日本放送出版協会 発行
奄美大島に移住し、アダンやクワズイモなど亜熱帯特有の植物を描いた風変わりな絵師がいます。田中一村という孤絶の画家は生涯を独身で通し、絵の他の楽しみもなく、無垢な心情を花や鳥に託して飽くことがなかったといわれています。
勢いのある伸びやかな線と鮮やかな色からはなんともいえない静けさが漂っており、不思議と安らぎを感じさせてくれます。
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